いなべ市の阿下喜温泉にて、浴室内の車いす使用を断られてから、その後
その後のその後2015年1月20日
ご協力ご支援、そして励ましの言葉をくださったみなさまに感謝の気持ちをこめて、経過と結果の報告をさせていただきます。なお、初めての方にも知っていただきたく内容を記します。ご一読いただけましたら幸いです。 
水谷 貴美子 
2010年4月10日


<健康管理と癒しの時間>
私は車いすを使って地域で暮らす障害者です。体調がよくない時には、障害の主症状である不随意運動が激しく、リハビリに通ったり安定剤を飲んだりしていましたが、温泉の湯につかることで、筋肉の緊張がほぐれ、不随意運動を抑えるには、温泉が一番効果的であることが分かりました。
   リハビリ通いも薬も止めて20年、私の健康自己管理は、もっぱら温泉通いです。
 
<車いすでの浴室内使用断わられる>
 自分で行ける範囲の温泉を見つけては行っていました。
 わけても、北勢線の黄色い電車に乗って行く道中は、美しい田園風景を眺めたり、本を読みながらだったりと、いなべ市の管理する「阿下喜温泉」はなかなか楽しくて良いものでした。
 ところが、6回目(昨年の3/31)にして、車いす使用を断られたのです。

<断られた理由として>
 他の客に危険である。
 車いす対応施設ではない。
というのが主たる理由でした。
 
 阿下喜温泉には「バリアフリー施設整備基準適合」の認証がフロントに掲げられています。6回目にしての拒否はもとより、温泉施設内に何も障壁となるものはなく、上記の理由は納得できませんでした。

<その後の運動>
 健常者と同じように、外へ出て社会参加したい、
まして健康管理のための温泉行はごくごく自然に
受け入れられてよいのではないか。
今回の件は「偏見と差別」であり、納得できない
ということで、仲間と解決に向けて「運動」
していくことにしました。
 
<車いす使用者の温泉利用を求めていく「運動」の取り組み>
@ 学習会開催
   (1)バリアフリーって何(ユニバーサル・デザイン)
      三重県の出前トーク依頼
   (2)障害者権利条約
A 近隣の温泉施設の車いす者の体験 
  6箇所:すべて車いす使用認められていた。
B いなべ市、桑名市、北勢線対策室へ要望書提出
 (北勢線は、桑名から阿下喜までの往復切符と阿下喜温泉入泉券付き1,000円を発売している)

<運動 その後>
@ 要望書提出後、他を除いて、いなべ市は「認めない」の回答。
A その後、話し合いを求めて再々度要望書を提出するが、無回答であった。
三重県の障害福祉課へ交渉に行く。
B 中日新聞への投稿、伊勢新聞からの取材等を経て、津地方法務局人権擁護課からの聞取り調査を受ける。11/13 2/2 

<法務局人権擁護課からの結果報告 3/25>
@ 阿下喜温泉は防水を施した車いすを置く。
A 手すりを設置する。
B 本人個人の車いすを希望する人は、車いすをしっかり拭いて使用する。
という嬉しい報告でした。(障害者の一人ひとりを認めた対応)
  
 入泉を断られてから、ちょうど1年、「運動」をともにしてきた仲間との長いような短いような月日でした。連帯感を強め、学習を重ねながら確信を深めていく上での与えられた貴重な1年でもありました。
 個人の問題ではないと捉えながらも、当事者が必要なのだと声に出していかなければ、なかなか分かってもらえないということも、この問題で改めて実感しました。

<行ってきました阿下喜温泉へ>
 4月7日(水)に、1年前を思い出し少し緊張しながらフロントへ。何ごともなく浴室へ。快適な癒しの時間を過ごしてきました。
 往復、車窓から眺める桜の樹は、ひと花ものこさずに咲き、ひと花も散らず風景に溶け込んでいる桜花が心の芯まで染み込む温泉行でした。
 ご協力ご支援、そして励ましの声等々、多くのかたの思いを支えに「運動」してきて、得られた結果を報告できたこと、嬉しく思っています。
ここに改めて感謝いたします。
 ほんとうに、ありがとうございました。
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